活動内容

フランス料理勉強会

Fricassée de poulet a l'ancienne 料理検証 第二弾

2008年10月29日 於 帝国ホテル

実行委員:中田淑一(辻調理師専門学校)
能勢洋(帝国ホテル)
久保康志(大阪新阪急ホテル)
柏木健一(ホテルグランヴィア大阪)
歌田年一(オリエンタルランド)

今年8月ホテルグランヴィア大阪にて検証を行ったFricassée de poulet a l'ancienneの疑問点を帝国ホテル 田中総料理長はじめ調理部の皆様の協力を得て、ホテル内宴会厨房で再度検証を行なった。

会場では、若手料理人を中心に約40名の参加者がメモやカメラを持参し、鶏のさばき方から焼き方、鍋の中を覗き込んでソースの作り方に至るまで、熱心に一連の調理作業を見つめていた。 このような光景を目の当たりにして、勉強会を行う意義がここにあると実感した。昔から親しんできたこの料理の中に魅力が隠されているに違いない。実行委員全員が同じ意見である。

検証

 LE GUIDE CULINAIREのルセットでブレス鶏を使用
◆LE GUIDE CULINAIREのルセットでブロイラーを使用
帝国ホテル伝統のルセットで国産地鶏を使用

検証 検証

検証のポイント
・(鶏の焼き方、焼き色): 前回納得がいかなかった焼き方、焼き色をどうするか。
・(ソースの状態): 使用する鶏によってどの様な仕上がりになるか。
・(鶏の火通し): 煮込み時間をどれくらいにするか。
ライン
材料

材料

  • 1.2kg de poulet de Bresse 
  • 1.2kg de poulet délevage 
  • 65 g de farine(薄力粉)
  • 100 g de beurre
  • 1L de fond blanc de volaille
  • bouquet garni
  • 15 champignons de Paris
  • 1/4 citron
  • 15 petits oignons
  • consommé simple
    ※今回はfond blanc de volailleを使用。
  • 2 jaunes d’œuf
  • 2 cuillères a potage de crème fraîch
  • 30g de beu
  • une pinc&eacàute;e de persil haché
  • 1 cuillère à potage de ciboulette haché
  • 4 petits fleurons en feuilletage (cuits à blanc)

材料

材料

材料

作り方
  1. 家禽類の下処理を行い、骨付きの4つ落としにする。
    ※煮込んでいる間に肉が縮むのを防ぐため骨をつけておく。
  2. ,鳳、こしょうする。少量のバターを鍋に溶かし、皮面を下にしてゆっくり焼く。
    ※下味のつけ方として低温で脂分を出しながらゆっくり焼く為、皮面は強めにする。

    作り方 作り方

    検証ポイント
    前回は、白く仕上げるために出来るだけ焼き色をつけないように調理したが、今回は低温でじっくりと脂を出しながら焼き色をつけた。 その結果、焼き色をつけてもソースの色にはあまり影響がないことが今回の検証で分かり、焼き色を程よくつけることで前回とは違った仕上がりになった。 白く仕上げないといけないという考えはブランケットと混同していたのか…。
  3. △鮗茲蟒个掘鍋に残った余分な脂を拭き取り、バターを溶かし、小麦粉を加え、焦がさないように炒める。
  4. つけ合わせの小玉葱、シャンピニョンをfond blanc de volailleとバターでそれぞれ火を入れる。
  5. の鍋にfond blanc de volailleを加え, 鶏肉を戻し、蓋をして一度沸かしてアクを取り、bouquet garnisを入れて柔らかくなるまで(ブレス鶏は約40分、ブロイラーは約20分間)煮込む。
    ※小玉葱とシャンピニョンは時間差で加え、火通りをみて取り出す。
  6. つけ合わせを取り出し卵黄を少しづつ加え、好みの濃度になれば、塩、こしょう、シャンピニョンの煮汁を少量加え味を調えバターモンテする。
  7. 場合によっては、漉したソースの中に鶏、小玉葱、シャンピニョンを鍋に戻しソースとよく絡めプラトーに盛り込む。仕上げにフルーロンを飾って供する。
ブレス鶏

作業工程は前回と同じであったが、今回は皮目を低温で脂を出しながら色付けた。煮込む時間によって仕上がりが硬く旨味が出にくいことが分かっていたために煮込む時間を30分間煮込んでから付け合わせを入れ、更に10分間煮込むことにした。 煮込み上がりは、ブレス特有の旨味が出て、煮込んだ液体が非常においしい。ソースが美味しくなるはずである。この味はブロイラーでは出ない。

ブロイラー

ブレス鶏同様焼き色をつけて煮込む。10分間煮込んで付け合わせを入れ、更に10分間煮込む。肉質は脂分が多いため、セジールの段階でしっかり脂を落としたほうがよい。 煮込み上がりはブレス鶏よりも早く、柔らかくなるが、リエする前の段階で煮込んだ液体に旨味がソースに出てこない。ブレスのソースと味を比べてみると比べ物にならない。
2羽の鶏で検証を行ったが、ブレス鶏を使って料理するにはコスト面でも非常に難しい。このブレスのような味を記憶に残して、普段でも手に入る素材でどのように料理すれば近くなるかを考えないといけない。 近い味にするにはどうしたらいいのか。どのような素材と合わせればいいのかを考えなくてはいけない。

ライン

帝国ホテル伝統のルセット

材料
  • 1.2 kg de poulet de DAISEN
  • 20 pieces d’oignons
  • 250g de champignons de Paris
  • 200 ml de vin blanc
  • 200 ml de crème fraî che(45%)
  • 50 g de beurre
  • 150 ml de sauce suprème
  • 200 ml de fond blanc de volaille
  • 20g de champignons de Paris
  • 500 ml de crème fraiche(45%)
  • 200 ml de beurre
  • 10 g de beurre(pour monter)
  • 100 ml de beurre
  • 100 g de farine
  • 1.25l de fond blanc de volaille

材料

材料

ソース・シュプレーム

作り方

シャンピニヨンの薄切り、フォン・ブラン・ド・ヴォライユをゆっくりと1/4量になるまで煮詰め、生クリーム、ヴルーテを加え軽く煮込み、細かいシノワで漉し、味を調える。

  1. 鶏は4つ落としとし、もも肉は2つに分け、塩、こしょうする。
    ※この下味の塩、こしょうは煮込み料理なのでしっかり行う。
  2. ガルニテュールになるオニオンブラン、シャンピニョンは下処理しておく。
    ※シャンピニョンの屑はソースのベースに加えておく。
  3. 鍋にバターを加え、軽い色づけ位に鶏を焼き取り出しておく。
    ※皮目を先に入れて焼くが、あまり強い火では焼かない。皮目と反対の肉側が固くなることを想定し軽く焼く。
  4. の鍋でオニオンブラン、シャンピニョンを炒め、鶏を戻し、白ワインを加える。

    作り方

    ※ルセットを見た時に、だし汁が入らないのに白ワインの量が少ないというイメージであったが実際はきのこなどから水分が出た。この分量のままで行う。
    ※い稜鬟錺ぅ鵑亮儺佑疂にポイントが隠されていた。ただアルコール分のみを飛ばすというイメージで煮詰めるのではなく程よい酸味を残すぐらいしっかりと煮詰めた。
  5. い乏犬鬚掘¬閉してやわらかくなるまで(たまに蓋を開けて鶏のひっくり返す)直火で煮込む。

    作り方 作り方

    ※今回はココットを使用する。(密閉性のいいものが好ましい。水分を逃がさないようにする。)
    ※胸肉は15分、もも肉は25分で取り出す。
  6. イ瞭蕕坊椶鯡瓩掘∪献リームを加え、軽く煮込み、ソース・シュプレームを加え混ぜ合わせ、味を調える。

    作り方

    ※今回はバター10gでモンテし、卵黄1個でつなぐ。(分量の生クリームを少し残し卵黄と混ぜ合わせておく。直接入れることを避け、加える際にソースのベースで伸ばしてから加える。)

    作り方

    ※ソースが分離する可能性があるために沸騰させないように注意する。

感想

このスタイルでの調理は初めてであった。はじめは白ワインの分量に戸惑った。しかし、200mlの量でちょうど良かったと思われる。煮詰め加減は、酸味を少し残し生クリームとソース・シュプレームとあわせた味を想像し、調整を行うことが大事である。 鶏の焼き方に関しては帝国スタイルはあまり色をつけない。時間をかけてたっぷりのバターで皮目からうまみを出すような焼き方を行う。GUIDEは生クリームの量が大匙2杯。それに対して帝国スタイルは計700mlと圧倒的に生クリームが多い。 GUIDEの作業の中で生クリームをもう少し加えたらどう味が変化するのか?もっとコク、まろやかさが調和され美味しく仕上がるのではないか?と更なる課題も生まれた。
帝国スタイルは生クリームとソース・シュプレームで煮込む。GUIDEはだし汁で煮込む方法をとっている。ソースの濃度はあまり濃くせず仕上げるようにする。卵黄でつなぐため最終的な仕上がりにコクが出ることを計算しての事だと想像する。 宴会では湯煎にかけるため、卵黄で仕上げることはないということだ。しかし、卵黄でつないだソースはつなぐ前のものとまったく別物であった。故村上信夫氏がこのルセットの解説文の中で、おいしいと書かれていた意味がここにあるように思えてならない。
この料理の中で鶏の焼き方、白ワインの煮詰め方、ソースの仕上げ方の見極めがポイントになってくるであろう。昔から引き継がれてきたこの料理、非常に勉強になった、と同時に作り手のテクニックが要求されるものであるように思えた。
特に帝国スタイルの仕上がりは、クラシックな古典料理とホテルの伝統を融合させ、現代に受け継がれている美味しさと感じた。

今回の検証で

Fricassée de pouletを2回検証したことにより、今まで自分たちの固定概念で調理していたように思えた。この料理だけではなく改めて考え直さないといけないという気持ちになった。
この料理を例にとっても使用する鶏の選び方一つで煮込み上がりの煮汁の上手さの違いを感じる。今回のように比較するとこんなにも違いがはっきりするのかと思った。焼き方には実行委員それぞれの考えがあった。 今まで学んできたり見たりしたことをふまえ、はじめは白く仕上げることを先行した焼き方を行なったが、ブレスを使って煮込んでいるにもかかわらずおいしさというのを感じなかった。何故か。 話し合いの末、再度検証を試みることになった。
そこで2回目の検証では『鶏をじっくり焼き、鶏の質により煮込み時間を考える。』をテーマにし、再度調理を行なった。結果、1回目と2回目とでは仕上がりに大きな違いがあった。2回目の方が数段おいしい。鶏の焼き方はじっくりとレディール(注))すること。 時間帯はあくまでも目安で鶏の質や状態により旨みを残しつつ柔らかく煮込むこと。煮汁にしっかりと味が出ていることを確認すること。それから最近行われなくなっている卵黄でリエする方法にこの料理の味を感じた。コクがあり、でも口当たりが重たくはない。本当においしい料理であった。

注)レディール:raidir(仏語) 低温でゆっくり表面を焼き固めること。saisir(仏語)は強火で瞬時に表面を焼き固めること。