協会について

エスコフィエ協会設立の目的や沿革、役員構成、会長のご挨拶をご紹介をいたします。

会長挨拶

現代に生かし、未来へ繋ぐエスコフィエの精神

福田 順彦
一般社団法人 日本エスコフィエ協会 会長福田 順彦 (株)東急ホテルズ 常務執行役員・総料理長
(株)セルリアンタワー東急ホテル 総料理長

このたび、第7代一般社団法人日本エスコフィエ協会会長を拝命いたしました福田順彦と申します。1971年に故小野正吉初代会長のもと出発したこの協会は40年を越える長きにわたって受け継がれてまいりました。これはひとえに会員の皆様の絶え間ないご尽力と探究心の賜物であると確信しております。今ここに諸先輩方を経て譲り受けた襷を手にして、まさに身の引き締まる思いであり、重責を担う覚悟と決意を新たにしております。さて、就任にあたり僭越ではございますが、私が考えるエスコフィエ協会の方針をこの誌面をお借りして述べさせていただきたいと存じます。この協会は、オ-ギュスト・エスコフィエの真髄に基づき、伝統あるフランス料理の継承を目的として運営されてきました。現代社会においては、伝統を堅実に伝承していくことは重要なファクタ-でありつつも、社会情勢、生活環境、嗜好の変化などひとつひとつに対し、柔軟に対応していかなくてはなりません。師エスコフィエ自身が次のように語っています。『社会が変化をしていくのと同じように、料理も時代とともに変わっていくべきである。その時代の習慣やしきたりに則った仕事の進め方を私たち自身で追求しなければならない。』この一節は今から80年以上も前に執筆されているにも関わらず、いま私たちが直面している状況そのものです。「時代の変化に対応して存続できる体制の構築」すなわち未来に向け、伝承と選択を見極め、この協会が如何にして社会に貢献ができるかが、今後の発展に繋がるひとつの鍵であることは間違いありません。

進化論で有名なダーウィンの「種の起源」(1859年)においても、『生物は常に環境に適応するように変化し、それにともなって種が分岐して多様な種が生じる。』とあります。人類の生命を繋ぐ“食”を生業としている私たちには、次代への生命の継承のためにも、この「時代に適応した仕事」をすることが求められているのではないでしょうか。また、料理の伝承に欠かすことのできない調理スタッフが現在どの職場においても慢性的な人員不足として問題提起されています。このような厳しい状況のもと、協会の発展と継続において若い人材の育成は急務であります。あらゆる選択の中で広く門戸を開き、育成にも注力をしてまいります。2020年の東京オリンピック・パラリンピックも3年後に迫ってまいりました。世界に通用する料理人の育成、食材の確保、さまざまな国際規格、仕様、ルールの制定など課題は多々ありますが、これを好機と捉え、会員各位の力を集結させて大会を成功に導き、日本エスコフィエ協会として貢献してまいりたいと思います。フランス料理文化の普及に心を砕かれてきた先達の思い、今まさに奮闘されている1,800名を超える現会員の皆様の思いを胸に、全力で会長職にあたる所存でございます。「ともに闘ってきた共闘の時代から、ともに生きていく共生の時代へ・・・」私が常に大切にしている言葉とともに私の就任の挨拶とさせていただきます。
会員の皆様には、尚一層のご理解、ご協力を賜りますよう伏してお願い申し上げます。

設立の目的

日本エスコフィエ協会は初代会長・故小野正吉(ホテルオークラ総料理長)が中心となり、日本の現代フランス料理の草分けともいえる25人の料理長が集まり1971年に創設されました。
近代フランス料理の祖オーギュスト・エスコフィエの弟子たちにより”エスコフィエが確立した近代料理術と伝統の継承と発展、調理技術の再教育などを目的としてフランスで設立されたエスコフィエ協会”の精神を基に2012年4月に内閣府から一般社団法人として認可を受け、現在では7代目の福田順彦会長(セルリアンタワー東急ホテル 総料理長)のもと約1800名の会員の所属する協会として幅広い活動を行っています。

歴代会長

  • 小野 正吉
    初代会長
    故 小野 正吉
  • 村上 信夫
    第2代会長
    故 村上 信夫
  • 古谷 春雄
    第3代会長
    故 古谷 春雄
  • 劔持 恒男
    第4代会長
    故 劔持 恒男
  • 浅野 和夫
    第5代会長
    浅野 和夫
  • 大庭 厳
    第6代会長
    故 大庭 厳
協会の使命
2002年に、特定非営利活動法人として認可を受けた直後の年頭のあいさつで、村上信夫名誉会長は会の運営方針として”フランス料理の普及と発展を目指す活動”、”フランス料理の料理人のための活動”、”料理長による社会貢献”を3つの柱として掲げています。
エスコフィエは『ル・ギッド・キュリネール』の序文で「料理は時代によって変わるものだ。この本はこの時代の参考書にすぎない」と述べています。この理念に従いフランス料理の基礎的技術や伝統を後世に伝え、料理及び料理人の水準の向上と発展に寄与するとともに料理を通じた幅広い社会貢献を目指し、その活動を行っていくことが、エスコフィエ協会の大きな使命であると考えています。
技術を伝える
エスコフィエ協会が主催している事業のひとつに、エスコフィエ・フランス料理コンクールがあります。このコンクールのテーマは、基本的な技術の集大成ともいえる『ル・ギッド・キュリネール』から出題しています。中には最近の厨房では作る機会が少なくなってしまいレシピや技術を伝承することが難しい料理もあります。このような伝統の料理を、新しい世代に伝えていくために講習会などを積極的に開催することも当協会の大きな役割です。
また、一般会員の方々、若い方たちのための講習会だけにとどまらず、すでに料理長として現場に立つ会員の皆様の技術知識の向上を目指すための講演会の実施その他の活動を行っております。

オーギュスト・ エスコフィエについて

Augusta Escoffier

日本エスコフィエ協会の名は、19~20世紀、世界の文化の中心だったパリ、ロンドンで大活躍した料理長オーギュスト・エスコフィエ(以下、エスコフィエと表記)に因んで名づけられました。エスコフィエは1846年、ニース郊外の小村、ヴィルヌーヴ・ルーベ(Villeneuve-Loubet)に生まれ、数々の料理修行の後、モンテ・カルロのグラントテル、ロンドンのサヴォイホテル、カールトンホテルの料理長を歴任し、1898年、パリのヴァンドーム広場にあるオテル・リッツの料理長を務めました。その間オテル・リッツの創始者セザール・リッツとのコンビでこれら豪華ホテルのレストランをホテルと同格の超一級レベルにすると同時に、調理を合理化、近代化し、当時まだ過酷な職業であった料理人の負担を少なくし、文化を担い尊敬される職業とするためにその健康管理、知識の習得面からも指導し、料理人の社会的な地位向上を果しました。

エスコフィエはもちろん料理人としての活躍も目覚しく、今でもデザートに登場する「ピーチ・メルバ」、蛙の腿を妖精の足にみたてた「妖精オーロラ風」などの創作料理や、ソース・シャスール、ソース・ディアーブル、ソース・グラン・ヴヌール、ソース・ロベールなどのフランス料理の基本であるソース類を軽く仕上げることにより時代にあったものに改良しています。

1903年にはフランス料理のバイブルとも言える「ル・ギッド・キュリネール」を刊行。この書には、5000以上の伝統の料理のルセット(=レシピ)が掲載されており、現代においても基本の確認のためにプロの料理人が手放すことのできないものとなっています。その序文では「料理の質を落とすことなく、料理の簡素化を究極まで推し進めることが料理人のなすべきことである」「料理は時代とともに変わっていくべきである」と言い遺しています。その他にも1912年「メニューの本」、1934年「私の料理」など多くの書物を残しています。
エスコフィエは1935年に隠退生活をしていたモンテ・カルロで亡くなりましたが、それまでにフランスの料理文化を世界に広めた功績でレジオンドヌール勲章を2度に渡り授与され「料理の大使」として多くの人々の賞賛を受けました。

エスコフィエ協会国際本部

フランス料理の発展とエスコフィエ

  • 1896

    リッツとエスコフィエ、ロンドンにカールトン・ホテル開業
    エスコフィエ、ペーシュ・メルバ考案
    サリー・ワイル生まれる

  • 1898

    パリ、オテル・リッツ開業
    エスコフィエ、シェフとなる

  • 1902

    エスコフィエ著『ル・ギード・キュリネール』刊行
    ユルバン・デュボワ死去(1818~)

  • 1914

    第一次世界大戦勃発(~1918)
    カナダ人による冷凍法開発

  • 1919

    エスコフィエ、レジヨン・ドノール・シュバリエ勲章受賞

  • 1927

    横浜、ホテル・ニューグランド開業に伴い、サリー・ワイル来日

  • 1928

    エスコフィエ、レジヨン・ドヌール・オフィシエ勲章受賞

  • 1935

    エスコフィエ死去。日華事変
    イギリス、初の冷凍食品実用化

  • 1938

    プロスペル・モンタニェ編集『ラルース・ガストロノミーク』初版発刊

沿革

※この映像は2006年、一般社団法人化以前に制作されました。

日本エスコフィエ協会の歴史が動画でご覧になれます。
再生ボタンを押してご覧下さい。

  • 1971

    エスコフィエ協会日本支部発足
    初代会長・故小野正吉 元ホテルオークラ総料理長により設立される

  • 1978

    エスコフィエ協会日本支部による、フランスへの料理視察旅行

  • 1980

    エスコフィエ協会日本支部結成10周年記念(於・ホテルオークラ)

  • 1981

    エスコフィエ協会日本支部による日米加親善とフランス料理技術視察旅行

  • 1984

    山本直文料理関連蔵書、エスコフィエ協会へ寄贈(山本文庫創設)
    三井倶楽部にてエスコフィエを偲ぶ会料理フェア開催

  • 1985

    『エスコフィエの料理600』全5巻発刊

  • 1990

    エスコフィエ協会日本支部結成20周年記念(於・ホテルオークラ)

  • 1991

    エスコフィエ協会日本支部による、フランス料理視察旅行

  • 1997

    村上会長就任
    小野正吉蔵書エスコフィエ協会日本支部へ寄贈(小野文庫創設)
    『新西洋料理体系』第5巻発刊

  • 2002

    任意団体からNPO法人となる

  • 2003

    古谷会長就任

  • 2005

    フランス料理技術教本「エスコフィエの技・現代の術」を編纂
    劔持会長就任

  • 2006

    10月28日エスコフィエ生誕160周年記念晩餐会開催

  • 2007

    NPO法人を解散し社団法人を設立

  • 2008

    浅野会長就任

  • 2012

    社団法人を解散し一般社団法人を設立

  • 2013

    大庭会長就任

  • 2017

    福田会長就任

役員構成

会 長
福田 順彦

(株)東急ホテルズ 常務執行役員・総料理長
(株)セルリアンタワー東急ホテル 総料理長

副会長
伊佐 武二

オフィスI・S・A 代表

市川 博史

(株)京王プラザホテル 名誉総料理長

上柿元 勝

料理人・(株)オフィス・カミーユ 代表取締役

佐藤 伸二

(株)ジェイアール西日本ホテル開発 常務取締役
ホテルグランヴィア京都総支配人兼調理部担当役員

善養寺 明

ホテルオークラ京都 取締役総料理長

森 繁夫

(株)名古屋観光ホテル 相談役・名誉総料理長

理 事
池内 渉

(株)ときわ 取締役 統括総料理長

池田 順之

(株)ホテルオークラ東京 上席執行役員 洋食調理総料理長

伊藤 文彰

(株)円居 代表取締役社長

大江 廣嗣

(学)北斗文化学園 主任教授

太田 高広

ホテルニューオータニ 統括料理長

太田 昌利

(株)ロイヤルホテル 常務執行役員
リーガロイヤルホテルグループ統括総料理長 
リーガロイヤルホテル 大阪 総料理長

小石 幸一郎

ANAクラウンプラザホテル金沢 総料理長

坂本 憲治

(株)福岡サンパレスホテル&ホール 総料理長

佐々木 康二

プレスキル 料理長

佐野 文彦

(株)西武・プリンスホテルズワールドワイド 箱根・伊豆地区 
総料理長

鈴木 房雄

金沢東急ホテル 料理長

曽我部 俊典

(株)東急ホテルズ 執行役員
(株)ザ・キャピトルホテル 東急 副総支配人 兼 総料理長

髙橋 義幸

(株)帝国ホテル 執行役員 調理部長

高良 康之

ラフィナージュ 料理長

中宇祢 満也

ホテルインターコンチネンタル東京ベイ 総料理長

能勢 洋

(株)明治記念館C&S 洋食部 総料理長

󠄀
若林 知人

辻󠄀調理師専門学校 運営副部長 西洋料理 教授

渡邉 隆

ホテルメトロポリタン山形 上席執行役員総支配人

監 事
古川 瑞雄

香川調理製菓専門学校 校長

吉田 信一郎

エーキューブステーション代表 税理士

ご入会について

日本エスコフィエ協会の会員は、フランス料理の普及と発展を目指し、
フランス料理を通じた幅広い社会貢献を目指す個人・団体です。

会員の区分

  • 正会員
    (アミ会員・ディシプル会員)

    フランス料理に関する技術・学識・経験を持つ料理人

    アミ会員
    入会条件 フランス料理歴10年以上、年齢30歳以上
    ※入会にはディシプル会員1名の推薦を必要としております。
    ディシプル会員
    アミ会員の中から下記条件を満たした方が昇格した会員区分 アミ会員からの昇格条件
    • 年齢35歳以上
    • 総会時(6月末日)にアミ会員歴2年以上
    • 年会費の期日までの納入
    • 総会・晩餐会への出欠返事(欠席の場合でも総会の委任状の提出が必要)
    • 総会と同日に行われる昇格授与式(エシャルプ・ディプロム・写真代含む費用30,000円)の本人参加
    賛助会員
    協会の趣旨に賛同し、活動に参加・協力する個人及び団体(企業・調理師専門学校など)をビヤンフェトゥール(厚志協力者)として歓迎しております。
    ※入会にはディシプル会員1名の推薦を必要としております。
    無料登録会員
    協会の趣旨に賛同いただける若き料理人達を中心とした会員制度。
    ※推薦は不要で当サイトからご登録できます。
    ご登録はこちら

会員特典

ディプロム、エンブレム(正会員のみ)、エシャルプ(正会員はディシプル昇格時)が授与されます。

ディシプル会員用エシャルプ
ディシプル会員用エシャルプ
アミ会員用エンブレム
アミ会員用エンブレム
賛助会員用エシャルプ
賛助会員用エシャルプ
  • 総会・晩餐会への出席

    正会員・賛助会員は、年に1度の総会・晩餐会に出席できます。
    会員が一同に会する総会に出席し、相互の交流を深める機会に参加することができます。

  • 会報、表彰、イベントへの参加

    協会の活動などをお知らせする会報「エスコフィエ通信」(年4回発行)が定期的に届きます。
    その他、協会の行う事業・催しに優先的に参加でき、研修留学やフランス語通信講座等に優先割引が適用となります。
    調理師専門学校には、毎年、優秀な生徒に賞状(ディプロム)を授与する制度があります。

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