特定非営利活動法人
日本エスコフィエ協会
Association des Disciples d'Auguste Escoffier
du Japon
第3回エスコフィエ・フランス料理コンクールの決勝が2006年8月30日(水)、東京調理師専門学校(東京都新宿区)で開催され、厳正な審査の結果、入賞者が決定しました。 調理のテーマはオーギュスト・エスコフィエの著書『ル・ギード・キュリネール』から出題されました。 |
優勝 小川 次郎(写真中央) シェラトン・グランデ・トーキョーベイホテル 2位 安藤隆二(写真左) (株)オリエンタルランド 3位 合田友祥(写真右) ホテルインターコンチネンタル東京ベイ |
● 決勝進出者 ●(50音順 敬省略)
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決勝テーマ | |||
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メイン 8人分プラッター盛り |
Selle d'agneau prince Orloff Sauce Béchamel Sauce Soubise Sauce Mornay |
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ソース 8人分をソシエールで別盛り |
Fonds de braisage | ||
ガルニテュール 2種各8個作る |
Navets farcis aux betteraves glacées Purée de haricots verts en tartelettes |
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デセール | Pudding au riz à l'anglaise Sauce au chocolat |
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調理時間 | 4時間 | ||
<参考文献> | 『Le Guide Culinaire』(Auguste Escoffier) 『Ma Cuisine』(Auguste Escoffier) |
コンクール委員・村山進理事による テーマの解説 |
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メイン |
★肉は柔らかいより固い方が切りやすいので、紐をかけた肉をリソレしたら、冷蔵庫に入れて冷ましてからロースを切り出す作業にかかる。肉は表面をしめるだけで中に火を通さない。 ★ロースはきれいな四角に切り取らないと本体に肉がたくさん残ってしまうので、正確に包丁を入れる。その際、骨すき包丁は幅広の出刃包丁のようなものではなく、薄くて短く、刃先がとがっているものの方が作業しやすい。 ★ロースを取り出したセルの骨の周辺にある血などの赤みを消すため、肉の本体をオーヴンで加熱する。この時、アルミフォイルで外周を囲い、軽く紐で縛ってオーヴンに入れると、きれいな形に仕上がる。またソース・スービーズに仔羊の匂いが移ってしまうとソースのよさが減ってしまう。オーヴンに入れる前に骨の部分にアルコールを塗り、タイムの枝などをおいて表面を乾かすと臭みがなくなる。 ★取り出したロースは色づかないように表面をしめ、中は半生より少し火が入ったくらいに火を通す(牛肉のステーキで言うとブルーとセニャンの間くらい)。斜めに切った肉と肉の間にサンドウィッチのようにソースをはさみ、最後に焼き色をつけたりすると肉にどんどん火が入ってしまうので、焼き過ぎには注意する。 ★本体から切り出した時と同じように、表面を焼いたロースも冷蔵庫で冷ますと肉が固くしまるので、同じ厚みでかつ、断面もきれいに切れる。 ★斜めに切った肉の間に塗るソース・スービーズは、生温かいと感じる温度のものをはさむ。肉の両側にソースが塗ってあるので、肉はソースの温度によって温かくなったり、冷たくなったり影響を受けるため。ソースが生温かいと肉も温かくなり、食する時にちょうどよい温度になる。 ★巻き込むバラ先が脊髄まで届かなければ、プラッターに盛り付ける際にくず野菜などをかませると安定する。 |
Sauce Béchamel |
★ルーが熱ければ冷たい牛乳を加え、最初はダマができないようにホイッパーでよく攪拌する。ある程度つながり、鍋の中も沸いてきたらスパテュールで時々混ぜながら煮詰める。そうすると滑らかでつやのあるソースになる。 ★シノワで漉すよりも布漉しの方がより滑らかなソースになる。もしシノワで漉すなら、スパテュールで何度も叩くように押し出すとこしが出てしまうので、押しすぎないこと。 |
Sauce Soubise |
★切り出したロースの底部分に敷くソースは、ロースにはさむ分を考えて、敷きすぎないこと。 ★斜めに切ったロースの間にソースをはさむので、肉から離れず、くっつくよう、固めに仕上げる。 |
Sauce Mornay |
★肉にナペする時は、ソースが柔らか過ぎると流れてしまうので、固過ぎると思うくらいの濃度をつける。 ★チーズが少ないときれいな焼き色がつかないので、多めに加える。 |
ソース |
★メインの仔羊と中に詰めているソース・スービーズの風味を消さないような味にする。★ゆるすぎず、ナップの状態の濃度に仕上げる。 ★供する前にソシエールは必ず熱湯で温めてから、ソースを盛る。 |
ガルニテュール Navets farcis aux betteraves glacées |
★容器にするかぶは、かぶの丸い形が残るように整形すること。その際、ポム・シャトーのようにむいてしまうとごつごつした印象になり、実も削れ過ぎてしまうので、エコノムなどで少しずつ皮をむき、小さくしないこと。小さいとファルスするベトラヴの量が少なくなってしまうので、かぶは大きさを保つ方がよい。今回の課題ではふたをつけないので、葉はできるだけ実の上部から切り取り、容器の口を狭くする。反対に、ベトラヴをたくさん詰められるようかぶの果肉はたくさんくり抜く。ふちの厚みは均一にすること。 ★かぶは煮た後、バターと塩少々を加えて転がすようにあえると本来の味が出る。 ★ベトラヴをかぶに詰める時、かぶに色がつかないよう竹串やドゥミタス用の小さなスプーンでていねいにひとつずつ入れること。 |
Purée de haricots verts en tartelettes |
★アリコ・ヴェールとフラジョレを合わせたピュレは、目の粗いタミで、次に目の細かいタミで漉し、最後にポマードバターを加えて軽く合わせると、滑らかになり、さらにこくも出る。 ★バルケット型のタルトレットにピュレを詰めるという指定の時は、スパテュールできれいに山形に盛ると見栄えがする。クネルにするなら、バルケットの幅と同じ大きさのスプーンで作らないと、隙間ができてしまうので気をつける。 |
デセール Pudding au riz à l'anglaise |
★プディングは液体がなくなるまでココットで煮て、牛乳を残し過ぎないこと。 ★糖衣は薄氷が張っているようなイメージで作ること。振りかける砂糖が少ないと表面がひび割れたり、溶けてしまい、きれいに仕上がらない。 |
Sauce au chocolat |
★チョコレートは高温で溶かすと輝かないので、溶かす時の温度に気をつける。 ★鍋で仕上げた時にちょうどよいとろみをつけるのではなく、ソシエールに入れてから供するまでに蒸発する分を考えて濃度をつけること。 |
使用した材料 (メイン料理およびデザート用) | |
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仔羊の鞍下肉 | 2頭分(1頭約1s) |
バター | 2ポンド ※デザートに使用する分も含む |
トリュフ(火の通ったもの) | 2個(約30〜40g) ※形を整え16枚の薄い輪切りを仕上げ用とし、残りはみじん切りにする。 |
白ワイン | 1/2本 |
コンソメ・ドゥーブル | 500cc |
グラス・ド・ヴィアンド | 100g |
白いフォン(フォン・ブラン・オルディネール) | 1.5リットル |
蕪(L) | 10個 |
ベトラヴ(生) | 300g |
さやいんげん | 300g |
フラジョレ(冷凍) | 200g |
フイユタージュ | 300g |
小麦粉 | 200g |
牛乳 | 3リットル ※デザートに使用する分も含む |
生クリーム(45%) | 1リットル ※デザートに使用する分も含む |
おろしチーズ グリュイエール | 80g |
おろしチーズ パルメザン | 80g |
ローリエ | 5枚 |
サラダオイル | 200g |
玉ねぎ(M) | 5個 |
塩、こしょう、砂糖 |