活動内容

平成26年度 一般社団法人日本エスコフィエ協会 総会晩餐会

平成26年度 一般社団法人日本エスコフィエ協会 総会晩餐会

「ホテルグランヴィア京都」における晩餐会は10年ぶりの関西地方開催となり、塩麹漬けの鮎、葛で包まれたオマールなど京都らしい食材を随所に取り入れながら、フランス料理の伝統を意識したメニュー構成でした。「和食」がユネスコの世界無形文化遺産として登録されたことも重なり、伝統の中に革新をおりまぜた時宜にあったものとなりました。

一般社団法人日本エスコフィエ協会 晩餐会

会長挨拶(要旨)

欠席された大庭会長の式辞を井上筆頭副会長が代読されました。

平成26年度一般社団法人日本エスコフィエ協会総会において会員の皆様に挨拶を欠礼いたしますことをまずお詫びいたします。さて当協会はご承知のように料理業界の発展を願い、大きく3つの目的を掲げております。
1.フランス料理の現代における発展 2.人材の育成 3.料理長による社会貢献です。これらを踏まえて、私はフランス料理界を少しでも良くしたく思います。そのための組織改革は時代の変化に応じて見直されなくてはなりません。昨年は香港で開催された若き才能のコンクール、この3月には北フランスのリル市で開催されたディシプルアンテルナショナルの世界連盟総会に出席しまして多くの事を学びました。席上でアジアから新しくカザフスタンの入会が発表されましたが、フランス料理の発展に貢献することでしょう。私は3・11の東日本大震災において各国から寄せられたご厚情に対して感謝を述べ、現地での復旧、復興に向けて前を向いている報告をしました。さて、国内に目を向けますと少子高齢化の影響は大きく料理人育成は急務となりました。本部は女性料理人の働きやすい環境を求めており、調理師学校に対するものが大きいようでした。本日の講演会では村田吉弘氏に京料理とは何かについてお話をいただきましたが、日本の和食文化がユネスコ無形文化遺産の認定を受けましたことはご同慶に堪えません。2020年には東京オリンピック・パラリンピックが予定されていますが、世界中のアスリート、観光客をもてなす事は日本の食文化を伝える良い機会と考えます。国策である日本の食糧、農業、農村の発展、ようやく取り上げられた減税税率のこれからについて私たちは一段と厳しい目を向けなければなりません。和、洋、中はもとより、イスラムのハラール食の対応も必要です。豚肉やアルコールだけを禁じることでなく本格的な導入を考えなくてはなりません。2020年までにまだ6年有る考えでなく、残された時間はもう6年しかないのです。終わりに臨みフランス共和国、京都総領事に感謝申し上げ式辞といたします。

在京都フランス総領事 シャルランリ・ブロソー氏 挨拶

皆様こんばんは。日本エスコフィエ協会会長様、ご列席の皆様、本日は日本エスコフィエ協会の晩餐会にお招きいただき、誠に有難うございます。会長様、そしてお引き合わせ頂きました大溝様に感謝を申し上げます。貴協会の晩餐会が関西、とりわけ京都で開催される今宵は特別な会です。各国の中でフランスは唯一、総領事館を京都に設置しておりますので、喜びもひとしおです。
料理人の王であり、王の料理人と呼ばれたオーギュスト・エスコフィエは近代フランス料理の創始者の一人であり、ガストロノミーの世界では最も偉大な人物の一人です。その名を戴く貴協会が40年以上にわたり日本におけるフランス料理の発展と社会貢献に努めてこられたことに感謝を申し上げます。ご存知のように、和食がユネスコの世界文化遺産に登録されましたが、その数年前にはフランス料理が登録されています。フランスにとりましてこの登録は、オーギュスト・エスコフィエの遺産の賜物であったと言えるでしょう。
今年の2月、料理を通してつながれた日仏両国の絆に敬意を表して、京都からも複数の著名な料理人がフランスのファビウス外務大臣に招かれ、歴史上初めて、パリのフランス外務省で日本の美食が披露されました。また、京都の関係者のご尽力のもと、若い料理人が和食の基本と技を学ぶための来日ビザが取得しやすくなりました。その初の研修生が菊乃井様で学ぶフランス人であるのは決して偶然ではないでしょう。
エスコフィエ協会のディシプルの皆様は、フランスと日本が基本的な価値観を共有していることを証明しておられます。両国は同じように文化や創造、味覚にこだわりを持っています。互いの料理に関心を抱くと同時に、互いの文化、生活の中の美を高く評価しているのです。フランスのガストロノミーの知識やクオリティを日本で広めることに日夜努力をされている素晴らしきディシプルの皆様、エスコフィエの後継者たる皆様の、今後ますますのご発展をお祈りいたします。また、この関西で再び皆様と集うことができれば幸いです。
ご清聴ありがとうございました。

株式会社京都新聞ホールディングス 代表取締役社長 白石方一氏 挨拶

皆様こんばんは。ただいまご紹介にあずかりました京都新聞ホールディングスの白石方一でございます。京都では初めて開催されます日本エスコフィエ協会の総会・晩餐会がこのように盛大に執り行われますことを心からうれしく思い、お祝いを申し上げます。皆様におかれましては、長い歴史をもつ世界に誇る伝統を培ってきたフランス料理の価値を一層高めるために日々、大変なご努力、ご尽力されていらっしゃいますことにまず敬意を表したいと思います。
本日は京都での晩餐会ということで、恐縮ではございますが、やはり和食についても触れさせていただきたいと思います。和食は昨年末、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。多くの日本人がフランス料理と同様、日本の食文化も世界に認められたということで喜んでいると思いますし、自国の食文化を見直すきっかけになっていくとも考えております。わたしが特に感じておりますのは、従来から「世界の宝」と認められてきたフランス料理と、その仲間入りをした和食に共通する部分です。それは季節の素材を重視し、伝承された技術を重んじるという姿勢であり、さらには「おもてなし」、心遣いを大切にするといった点でも相通じるところがあると思います。
ご承知の通り、京都には1200年の歴史に培われた染織や工芸をはじめとしたさまざまな伝統文化がありますが、京料理もその代表であります。その京都で日本のフランス料理を代表する皆様が一堂に会され、晩餐会を開かれますことは大変意義深く、フレンチと和の融合を象徴するような貴重な機会であるとあらためて感じています。
今後も皆様がフランス料理はもちろんですが、日本や世界の食文化の充実、発展にご貢献されますことを大いに期待しております。何より食べる人の心に美しい花を添えるような料理に腕を振るい続けていただきたいと思います。結びに、協会のさらなる発展と会員の皆様のご活躍をお祈りいたします。

衆議院議長 伊吹文明氏 挨拶

皆様こんにちは。エスコフィエ協会の皆様、よく京都へお越しくださいました。ありがとうございました。今日は国会の実質的な最終日となり、晩餐会の始まりに遅れまして大変申し訳ありません。京都は料理を考えるには大切な街だと思います。今時分はきゅうり、茄子、唐辛子などが採れるのですが、この頃は栽培技術が発達し、季節の恵みというものがわからないほど種々の食材が店頭に並びます。養殖技術も発達し、特に手を加えて料理したものは天然物か養殖物かもわかり難くなりました。四季折々の自然の恵みに感謝して、その恵みを無駄なく使うというのが京都本来の料理の根底にあります。皆様が手掛けておられるフランス料理においても、動物を一頭処分したら余すところなく使うのがこの精神と共通します。日本のように素材を重んじるいわゆるヌーベル・キュイジーヌという流れがフランス料理にも入ってきていますが、昔ながらのソースを楽しむフランス料理がおいしいか、新しいフランス料理がおいしいかはそれぞれの好みだと思います。日本人はそういうコラボレーションが非常に上手な国民です。われわれがおいしいと思って食べているカレーライス、ビーフカツやコロッケなどは外国にはないものです。ポテトサラダもマカロニサラダもそうです。日本における中華料理も日本人が作ったものです。皆様はフレンチの伝統的な技法と日本人の感性を組み合わせてお客様を楽しませておられると思いますが、今日は村田さんの話をお聞きになった通り、この機会に京都の人々、町衆が何を大切にしてきたかに触れていただいて、皆さんの技術で新しいフレンチを作り上げていただきたいと思います。ありがとうございました。

閉会の辞 井上静男 筆頭副会長

爽やかな風が吹く過ごしやすい季節となりました。本日は在京都総領事シャルランリ・ブロソー様始め皆様にはお忙しい中を日本エスコフィエ協会晩餐会にお越しいただきましてまことにありがとうございます。総会も皆様のご協力によりまして無事終了することができました。さて本日の晩餐会は拍手万雷で何も申し上げることがありません。心のこもったサーヴィス、厳選された素晴らしいワイン、ホテルグランヴィアグループを挙げて臨まれたとお聞きしています。日本エスコフィエ協会は皆様ご承知の通り純粋な料理人の会でございます。いつまでも大切にしたいものです。本日の晩餐会のフランス料理は、佐藤伸二総料理長の下、スタッフが、かのフランスはホテルリッツの初代料理長オーギュスト・エスコフィエ氏の料理哲学と基本技術を尊重され、現代におけるフランス料理を精一杯に表現された素晴らしいものでした。またフランス料理は洗練された歴史と伝統ある食として世界遺産にも認められています。本日のホテルグランヴィア京都でのフランス料理の集大成には本当に京都に来てよかったといつまでも皆様の心に残ることでしょう。結びになりましたが、JR西日本ホテル開発代表取締役土師 総一様にはこのようなりっぱな会場をご提供いただき本当にありがとうございます。それからホテルグランヴィア京都のスタッフの皆様にはもう一度大きな拍手をお願いいたします。ありがとうございました。それでは皆様のご健勝と日本エスコフィエ協会のさらなる発展をお祈り申し上げて閉会のご挨拶といたします。

晩餐会メニュー

ホテルグランヴィア京都 佐藤伸二総料理長より、フランス料理の伝統を大切にしながら革新したいと考え、チャレンジを盛り込んだメニューとしたことに対し、ご出席の皆様のご意見をいただきたいというメッセージとともにメニューについての説明がありました。

①Effiloché de crabe aux oursins
汐雲丹と蟹のエフィロッシェ

gelée de tomate/mousse d'avocat/espuma d'oursin
トマトのジュレ/アボカドのムース/雲丹のエスプーマ

晩餐会スタートにふさわしく、フランス料理の王道である蟹とアボカドとトマトの組み合わせです。雲丹はミョウバンを使わない海水雲丹を使用し雲丹本来の味を楽しんでいただきます。

②Confit d'ayu au"SHIOKOJI",sauce á l' aubergine"KAMO"
塩麹漬けの鮎のコンフィを加茂茄子ソースで

roquette sauvage de"KYOTANGO"/parfait de foie-gras au "Pedro Ximénez"
京丹後のセルバチコ/ペドロヒメネス香るフォワ・グラのパルフェ

塩麹で漬け込み山椒オイルを使用して低温でコンフィし、鮎の内臓の苦味と焼茄子で京都の香りのソースを添えました。

③Purée de pommes de terre parfumée au haddock
アドック風味のポテトピュレとキャヴィア

mousse de haddock/citron caviar
アドックのムース/フィンガーライム

スモークした鱈の風味をつけたブイヨンでポテトを炊き、ピュレにしました。冷たいアドックのムースとキャヴィアを少量ずつマッシュと合わせて温冷のハーモニーを楽しむ料理です。

④Homard poché en"KUZU" parfumé au pastis
オマールブルーの葛包み パスティスの香り

saucisson de homard/fenouil/asperge/espuma de fenouil
オマールのソーシソン/フヌイユ/アスパラガス/フヌイユのエスプーマ

オマールブルーのコライユをたっぷり加えた濃厚なソースにオマールやソーシソンや野菜を合わせました。オマールは葛の保水性を利用して膜を作りパサつきを防ぎました。

⑤Médaillon de veau Prince Orloff et étuvée de légumes
仔牛のオルロフ風&京都風野菜のエチュヴェ

maïs/piment"MANGANJI"/navet/"SAIKYOMISO"
とうもろこし/万願寺とうがらし/カブラ/西京味噌

コンクールの課題料理にもなりましたオルロフ風を仔牛で作りました。ソース・ベシャメルをブールクラリフィエとジャージー牛乳で濃厚でありながらクリアな味に仕上げています。

⑥OEufs brouillés au fromage de camembert AOP aux truffes
AOPカマンベールとトリュフのウッフブルイエ

caviar de calvados/purée de pommes
カルヴァドスのキャヴィア/リンゴのピュレ

チーズは最後まで熟成させたカマンベールを使用し、ウッフブルイユで濃厚さを加え、トリュフで香りのバランスをとりました。

⑦Crème de rose au litch
ローズアロマのクリーム ライチの香り

gelée de litch/coulis de framboise/sorbet á la pêche
ライチのジュレ/フランボワーズソース/ペッシュソルベ

ライチとバラの新しい組み合わせでミロワールに仕立てたデザートです。

⑧Macaron á la sauce soja de "SAWAI"et au
mélange d'épices"SHICHIMI NOIR"
澤井醤油と黒七味が香るマカロン

café
ブレンドコーヒー

伝統的な技法で醸造した澤井醤油でマカロンを作り、黒七味の香りを添えました。

⑨Pain au "KOUZU-KO" et Pain traditionnel
酵豆粉パン 手捏ねバゲット

KOUZU-KO(poudre de miso sans sel)/beurre doux d'Échiré
無塩味噌パウダー/エシレバター

パンにも京都らしさを添えるため、無塩味噌のパウダーを練りこみました。

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