活動内容

フランス料理勉強会

Fricassée de poulet a l'ancienne 料理検証 第一弾

2008年度1回目

Fricassée de pouletを、「Le Guide Culinaire」と「Travaux Pratiques de Cuisine」のルセットをもとに調理し、比較・検証を実施。
※「Travaux Pratiques de Cuisine」(1984年刊行)はフランスの国家資格である「CAP」(=Certificat d'Aptitude Professionnelle:職業適性証書)を取得するための教科書の一つ。

2008年5月28日(水) 於 ホテルグランヴィア大阪宴会厨房

実行委員:柏木健一(ホテルグランヴィア大阪)
能勢洋 (帝国ホテル)
中田淑一(辻調理師専門学校)
久保康志(大阪新阪急ホテル)
レポート作成:久保康志(大阪新阪急ホテル)

私たち実行委員が、『なぜこのメニューを検証しよう』ということになったのか。

昨今、いろいろなメデイアであらゆる形で料理の紹介がなされている。その内容にはいろいろな考え方があり、見る者にとっては勉強になる。 しかし、私たちがフランス料理を学んだ頃の料理があまり見られなくなった現在、料理の原点を協会の先輩方と確認することにより、私たちだけでなく、これからフランス料理に携わる方々に少しでも伝えたいという意をもってメニューの構成を行った。

そこで、今回は、口当たりのやさしいクリーミーな味わいで印象深い鶏料理を検証することにした。私達にとっては想い出深い料理である。 煮込み料理の最後に卵黄で濃度をつけるなどのテクニックの裏側にはどのような理由があったのだろうか。このような料理を今提供するには、どのように工夫すればいいのか。何度も作って考えていきたい。




 

<Travaux Pratiques de Cuisine>
<Le Guide Culinaire>

(A) 1.2 kg de poulet de Bresse
   30 g de farine(薄力)
   40 g de beurre
   60 g d'oignon haché
   500 ml de fond blanc de volaille
   150 ml de creme double 

(E) 1.8kg de poulet de Bresse
   65 g de farine(薄力)
   100 g de beurre
   1gde fond blanc de volaille

(F) 15 champignons de Paris
   1/4 citron

   eau

(B) 125 g de champignons de Paris
   10 g de beurre
   1/4 citron

   eau

(C) 125 g de petits oignons
   10 g de beurre
   1 cuillèe à potage de sucre semoule

  eau

(G) 15 petits oignons
   consommé simple
(H) 2 jaunes d'oeuf
  2 cuilleres a potage de crème
  30 g de beurre
(D) < Riz Pilaf >
  80 g de beurre
  160 g d'oignon haché
  400 g de riz (indica)
  bouquet garni
  600 ml de fond blanc de volaille
(I) 1 prise de persil
  1 cuillère àpotage de ciboulette
  4 fleurons

 

 

  
@ 鶏を骨付きで4つ落としにする。

下処理
・表面に残っている細かい毛を直火であぶる(flamber)
・首づるや手羽先、足などの不要な部分を取り除く(parer)
・内臓を取り除く(vider)


*煮込んでいる間に肉が縮むのを防ぐため、骨をつけておき、仕上がってからはずす。

 


A @に塩・こしょうする。


*皮面は低温で脂分を出しながらゆっくり焼く為、強めに塩・こしょうする。

 


B 鍋に少量のバターを溶かし、皮面を下にして並べて焼き色をつけないように表面を焼き固めて、取り出す。


*焼き色に関してはさまざまであるが、白く仕上げるようにすること。

 


C Bの鍋の脂分を拭き取り、Aのバター、玉葱を入れ弱火でゆっくり炒める。


D Cに振るった薄力粉を加え、色をつけないようによく炒め、フォン・ブラン・ド・ヴォライユ(以下FBV)をダマが出来ないように少しずつ加えていく。さらにクレーム・ドゥーブルを加えソースとする。




*色をつけないよう細心の注意をする。

 


E DにBを戻し、ブーケガルニを加えて蓋をして柔らかくなるまで煮込む。


*鶏の肉質によっても火通りには気を付けないといけない。時間ではなく状態である。
*火通りを均一にするため途中で裏返す。

 


◆シャンピニオンの茹で煮
F シャンピニオンは1/4にカットする。鍋にバター、シャンピニオン、水、レモン汁を加え、一煮立ちさせる。


*水は、シャンピニオンの高さ半分が浸かるくらいの量。バターは風味をつけ、レモン汁はシャンピニオンの黒ずみを防止する。煮汁をソースの仕上げに使う。

 


◆小玉葱のグラッセ
G 小玉葱は皮をむき、根元の固い部分に浅めの十字の切り込みを入れる。鍋にバター、小玉葱を入れ、砂糖、水を加え紙蓋をして弱火で火を通す。


* 小玉葱が重ならない鍋の選択をする。水は小玉葱が浸るくらいの量。

 


◆バターライス
G 鍋にDのバター、玉葱を炒め、米、温めておいたFBV、ブーケガルニを加えて一度沸騰させ、紙蓋をし、オーブンに20分入れる。出来上がりに40gのバターでモンテする。

*液体は米1に対し、フォン1.5の割合。
*洗い米を使う場合は、米とフォンは同体積。

 

 

 

@〜Bは<Travaux Pratiques de Cuisine>と同じ工程で進める。

 


◆シャンピニオンの茹で煮
C シャンピニンは皮をむき、トゥルネに仕上げる。
  水とレモン汁で一煮立ちさせる。

 


◆小玉葱のコンソメ煮
D 鍋にコンソメ、小玉葱を入れ紙蓋をして火を通す。

 


E 鍋にEのバターと小麦粉を入れ、色をつけないように炒め、ダマが出来ないようにFBVを少しずつ加える。

 


*白い煮込み料理であるので色をつけないよう注意する。

F EにBのプーレを戻し、ブーケガルニを加え弱火で蓋をして柔らかくなるまで火を通す。

 


*均一に火を入れるために途中で裏返す。

G Fのプーレを取り出し、ソースを一度漉し、HでリエしIを加え、ソースを作る。



H CDGを合わせ、仕上げにCの茹で汁で味を締める。

I Hをプラトーに盛り込み、白く焼き上げたフルーロンを添える。
  

 

1.ソースで煮込むこの料理、生クリームの違い、使用量が仕上がりに大きく影響すると予想 していた。卵黄でリエする【Le Guide Culinaire】は薄黄色のエルブソース、【Travaux Pratiques de Cuisine】は重みをどっしり感じるクリームソースだが、両者ともブレスの美味しさが充分に出ていた。

 

2.【Le Guide Culinaire】と【Travaux Pratiques de Cuisine】、共に比較的重厚感のある料理になったが、仕上げにレモンの茹で汁、ガルニを加えることで全体の味が引き締まり、生クリーム、バターの重みを感じない。

 

3.ブレスの鶏は大きいため、20分の煮込み時間では短いように感じた。
鶏自体に旨みがあるので、もう少しゆっくりと時間をかけてソースが鶏肉にしみこんだら、さらなる美味しさが追求できそうである。

 

4.フォン・ブラン・ド・ヴォライユはこの料理を大きく左右する。白く仕上げるのが原則のため、色をつけず鶏と野菜の美味しさを充分に引き出したものを用意する。

 

 

 


厨房を提供してくださったホテルグランヴィア大阪のスタッフの皆さんと

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