「第7回エスコフィエ・フランス料理コンクール」結果発表

2014年8月28日(木)、食糧学院 東京調理師専門学校にて、第7回エスコフィエ・フランス料理コンクール決勝が行われました。109名の応募者の中から予選、準決勝を勝ち抜いた8名の選手たちが腕を競い、見事に時田啓一氏(品川プリンスホテル)が、優勝の栄冠に輝きました。

後援・食材協力

主催者からのディプロム、トロフィを手に、左から順に2位 橋本 氏、優勝 時田 氏、3位 兵頭 氏

選手氏名 勤務先
優 勝 時田 啓一 品川プリンスホテル
第2位 橋本 禎嗣 ザ プリンスパークタワー東京
第3位 兵頭 賢馬 オテルグレージュ(福岡)

1~3位の各氏と大会会長、大会副会長、審査委員長、実行委員長

上位3名の決勝課題作品と準決勝作品

決勝当日発表 課題料理

Filet de Bœuf Charolais Godard
「フィレ・ドゥ・ブッフ・シャロレ・ゴダール」
※「Le Guide Culinaire」より出題
※調理時間3時間 8人前 プラッター盛り

ーPiquer le filet de bœuf Charolais avec lard et Iangue alternés et le poêler.
Le dresser et l'entourer des éléments de la garniture Godard, disposés en bouquets légèrement saucés. Placer les quenelles décorées de façon bien apparente, sur le milieu et les bouts du plat.
ーServir à part une sauce Godard additionnée du fond du poêlage dégraissé, passé et réduit.

シャロレ牛フィレ肉に豚の背脂と、ラング・エカルラートを交互にピケして、ポワレする。8切れに切り皿の中央に盛り、ガルニテュール・ゴダールの諸材料をブーケにして軽くソースをかけた物を周りに並べる。皿の中央と、両端にデコレしたクネルを飾る。 ポワレのフォンの脂を除き漉して煮詰め、ソース・ゴダールと合わせて別に供する。

Garniture Godard (Pour gros Relevés de Boucherie et de Volaille)

8 quenelles en farce au beurre, additionnée de champignons et truffes hachés, et moulées à la cuiller.ー4 grosses quenelles ovales, décorées à la truffe et à la langue bien rouge ー8 têtes de petits champignons tournés ー125 grammes de crêtes et rognons ーune gorge de ris de veau glacée et escalopée ー8 truffes tournées en forme d'olive.
ーSauce Godard.

Garniture Godard

みじん切りのトリュフとシャンピニョンを加えたバター入りファルスを、スプーンで形作ったクネル8個、トリュフとラング・エカルラートで飾った楕円形の大きなクネル4個、トルネしたシャンピニョンの8個、雄鶏のとさか8個と雄鶏の腎臓8個、グラセして薄く切った仔牛の長細い喉頭肉(gorge de ris de veau)、オリーヴの形に面取りしたトリュフ8個。
ソース・ゴダール。

優勝 時田 啓一氏の作品

「ピケ」は知ってはいましたが、調理するのが初めての経験でした。また、肉のローストも今回はココット鍋の中に入れてオーヴンで火を通すという未経験のやり方でしたし、付け合わせも経験のないものでした。本で読み、頭の片隅に残っていた知識が頼りで不安もありましたが、一番重要な火の入れ方、味付けは日ごろの経験をもとに自分なりのこだわりを最後まで貫き通しました。今回の挑戦で、まだ知らない料理法があることを思い知らされ、フランス料理の基本をもう一回学びなおしたいと思いました。
決勝作品
準決勝作品
Noisettes de chevreuil Grand Veneur
蝦夷鹿のロース肉 グランヴヌール風
テーマである国産鹿肉には蝦夷鹿を選びました。さらに他の食材も産地を揃えて黒にんにく、高級じゃがいも「インカのめざめ」など北海道のものを使用し、北海道をイメージすることを意図しました。準決勝も他の皆様のレベルが高かったので緊張感も高まりましたが、自分の経験の感覚を信じて丁寧に仕上げました。

第2位 橋本 禎嗣氏の作品

「第4回コンクールに参加した時も準優勝だったので、今回は結果にこだわり、優勝を狙っていました。決勝は私としては会心の出来でしたが、今一歩およばなかったのは残念です。さらに精進を重ねて次回もまたがんばりたいと思います。
決勝作品
準決勝作品
Chevreuil en croûte au cacao sauce vin rouge aux myrtilles
鹿ロース肉カカオ風味のパイ包み焼き ブルーベリー風味の赤ワインソース

できるだけクラシカルな料理であるとともに、現代風な盛り付けでシンプルに仕上げる事にこだわってルセットを考えました。味付けは奇をてらわずオーソドックスにしています。事前に練習し、準決勝当日は自分の意図をうまく伝えられたと思います。

第3位 兵頭 賢馬氏の作品

決勝課題は経験したことのないスタイルの料理でした。本当に正しいのかどうか自問自答しながらの作業となり苦戦しました。また、用意された機材、食材やフォンなどいつもとは使い慣れない物の個性を調整し、どこに着地点をもっていくかが難しかったですが、古典らしさをイメージし、形にすることを目標としました。
決勝作品
準決勝作品
Ballottine de chevreuil et foie gras de canard. sauce venaison
熊本県産鹿ロースとフォアグラのバロティーヌ
赤ワインヴィネガーの香る鹿のジュ、ヴネゾン風

地元の鹿肉を使うに当たり、その鹿との相性や風土を考えルセットを構築しました。鹿肉は何よりも美味しさを重視し、アセゾネとキュイソンに気を配りました。付け合せは立体的で見栄えがよく、かつ仕事量の多さでもアピールできるようにと考えました。
入賞者5名(50音順)
選手氏名 勤務先
齋藤 満 大和学園 京都調理師専門学校
寺田 篤史 (株)ロイヤルホテル リーガロイヤルホテル大阪
時川 祐輔 ホテル日航福岡
東 宗史 金沢エクセルホテル東急
湯浅 一樹 JRホテルクレメント高松
齋藤 満氏の準決勝作品

Selle de chevreuil rôtie aux groseilles et aux poivres. Ragoût de chevreuil. Cromesquis de plat de côte couvert braisé
鹿背肉のロティ グロゼイユと胡椒風味 鹿バラ肉のラグー 脇腹肉のクロメスキ

決勝課題は純粋な古典料理と聞いていましたので、準決勝は今日的で斬新なアイデアを取り入れた料理のなかに古典的な技法を盛り込んだものにしたいと考えルセットを考案しました。準決勝当日は、自分の意図は表現できたと思います。

寺田 篤史氏の準決勝作品

Selle de chevreuil avec boudin noir, comme civet
鹿の鞍下肉とブーダンノワール、シヴェ風

兵庫県丹波産の鹿肉を使用しました。丹波産の鹿は肉質が大変繊細です。そこでベースはエスコフィエの料理法に習いつつも、鹿の肉質を活かすことに重点を置き、火を強く入れたりするのは避けて私なりにアレンジして丹波産鹿のよさを引きだすことを目指しました。

時川 祐輔氏の準決勝作品

Côte de chevreuil farcie au foie gras truffé avec trois garnitures, sauce poivrade.
エゾ鹿ロースとフォアグラのマリアージュ トリュフの香り、大地の香る三種のガルニチュール、ソースポワブラード

コンクールの料理は華やかさを第一に考えてしまいがちですが、まず、食べておいしい料理であることが大切だと思っています。その上で見た目の美しさも加えたいと考えたのが準決勝のルセットです。当日は自分の目指したものをそれなりに表現できたと思います。

東 宗史氏の準決勝作品

Pâté chaud de chevreuil et fromage de chèvre à la genièvre
ジェニェーブル風味のクルートで包んだ蝦夷鹿とシェーブルチーズのパテショー

準決勝のルセットはシンプルに鹿肉の風味を引き出すことを目指して、フランス料理の伝統的なパートを2種類使ったパイ包みを作りました。出来立ての熱い料理を味わっていただくために、手順や時間配分にも気を配りました。

湯浅 一樹氏の準決勝作品

Rôti de chevreuil en croûte de noisette au chocolat et mousse de chevreuil à la figue
鹿のロースト ヘーゼルナッツとチョコレートのクルート焼き 鹿といちぢくのブータン仕立て リンゴのピューレ添え

鹿料理ということで基本を踏まえてどこを新しくするかを考えました。鹿肉にはチョコレートのソースが合いますが、今回はクルートというパイ生地の中に、チョコレートを混ぜこんで鹿肉の上にのせて焼き上げる新しい技法に挑戦しました。

準決勝出場選手

東日本会場  後藤学園 武蔵野調理師専門学校 7月24日(木)

竹末 宗弘 (株)セルリアンタワー東急ホテル 東京
寺田 篤史 (株)ロイヤルホテル リーガロイヤルホテル大阪 大阪
時田 啓一 品川プリンスホテル 東京
橋本 禎嗣 ザ プリンスパークタワー東京 東京
福田 耕平 (株)明治記念館調理室 東京
松本 修一 新横浜プリンスホテル 神奈川
森山 健太郎 (株)ホテルオークラ東京 東京
湯浅 一樹 JRホテルクレメント高松 香川

西日本会場  辻調グループ校 エコール辻大阪 7月29日(火)

今城 浩二 帝国ホテル大阪 大阪
内海 龍一 Koshimo plus 兵庫
齋藤 満 大和学園 京都調理師専門学校 京都
坂口 和史 グランドプリンスホテル京都 京都
時川 祐輔 ホテル日航福岡 福岡
徳重 慎一郎 城山観光ホテル 鹿児島
東 宗史 金沢エクセルホテル東急 石川
兵頭 賢馬 オテルグレージュ 福岡
ホテルオークラ東京に於いて

大庭大会会長の開会の辞

今井実行委員長による挨拶

眞田審査委員長によるコンクール総評

ホテルオークラの
シェフがお客様を
お出迎え

ご後援団体の皆様と共に

ご後援団体の皆様、決勝進出者、大会会長、大会副会長、審査委員長、実行委員長、実行委員、審査員他、関係者一同
大庭大会会長よりディプロムの授与 実行委員長を囲んで 文部科学省
細野蔵様
Sopexa Japon
(フランス食品振興会)シャルル・デュラン様
表彰式

出水商事(株)代表取締役
山坂 法道様による
乾杯のご発声

決勝の食材シャロレ牛も供されたブフェ

インタビューを受ける時田氏

●協賛金ご提供企業・団体 (敬称略 50音順)

出水商事(株) (株)帝国ホテル (株)フジマック
(株)イメックス (株)東急ホテルズ Sopexa Japon(フランス食品振興会)
(株)オフィス・カミーユ (株)トーホーフードサービス フランス料理博物館
キスコフーズ(株) (株)中尾アルミ製作所 (株)ホテルオークラ東京
キューピー(株) 中沢乳業(株) (株)マツヤ
(株)ぐるなび (株)ニュー・オータニ (株)マンジュトゥー
後藤学園 武蔵野調理師専門学校 (株)ノムラ (有)ムッシュ藤田
タカナシ販売(株) 浜松調理菓子専門学校 (有)安富商店
辻調理師専門学校 ハマヤ(株) リゾートトラスト(株)

●副賞ご提供企業・団体 (敬称略 50音順)

(株)アマイ (株)帝国ホテル 伯方塩業(株)
出水商事(株) (株)中尾アルミ製作所 服部栄養専門学校
(株)オフィス・カミーユ 中沢乳業(株) ホンマ科学(株)
(株)ギャバン 日仏料理協会 (株)ホテルオークラ東京
キューピー(株) 日進畜産工業(株) 三鞍の山荘
(株)ぐるなび 日本リカー(株) (株)リーフル
タカナシ販売(株) (株)ニュー・オータニ
辻調理師専門学校 (株)ノリタケカンパニーリミテド

上記のほか競技会場、食材、調理器材などで下記団体のご協力をいただきました。
武蔵野調理師専門学校、辻調理師専門学校、東京調理師専門学校、東京會館、ホテルニューオータニ、大塚食品(株)、Sopexa Japon(フランス食品振興会)

ご協力、ありがとうございました。お陰様で素晴らしいコンクールができました。業界の、後輩たちの、今後の発展に大いに寄与したと思っています。
今後も、第8回、9回と続けて行きます。かわらぬご援助をお願いします。

応募者

今回の第7回エスコフィエ・フランス料理コンクールには、109名の方のご応募がありました。
応募者の皆様、誠にありがとうございました。

審査委員(敬称略 50音順)
●予 選
(書類審査)
伊藤 文彰 ルヴェ・ソン・ヴェール東京 代表取締役
太田 高広 ホテルニューオータニ大阪 総料理長
加賀 和広 ホテル椿山荘東京 執行役員総料理長
鈴木 房雄 ザ・プリンスパークタワー東京 総料理長
関口 真司 ホテルニューグランド 調理部次長
曽我部 俊典 横浜ベイホテル東急 総料理長
能勢 洋 帝国ホテル ラ ブラスリー シェフ一第2回優勝者
橋本 裕之 八芳園 取締役洋食総料理長
●準決勝 東日本
(食味審査)
市川 博史 京王プラザホテル 取締役総料理長
伊藤 文彰 ルヴェ・ソン・ヴェール東京 代表取締役
小山 英勝 ストラスブール オーナーシェフ
斉藤 裕之 マキシム・ド・パリ 総料理長
中宇祢 満也 浦和ロイヤルパインズホテル 総料理長・副総支配人
中村 徳宏 Impec/アンペック 代表取締役
檜山 髙良 水戸プラザホテル 総料理長
村田 眞吾 藤田観光 名誉総料理長
(実技審査)
太田 高広 ホテルニューオータニ大阪 総料理長
能勢 洋 帝国ホテル ラ ブラスリー シェフ一第2回優勝者
(デクパージュ)
佐藤 進一 京王プラザホテル八王子 総料理長
竹下 公平 浦和ロイヤルパインズホテル アシスタントシェフ一第5回優勝者
吉本 憲司 インターコンチネンタル東京ベイ マンハッタン 料理長一第4回優勝者
●準決勝 西日本
(食味審査)
石井 之悠 バリューマネジメント グランシェフ
鎌田 雅之 ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド 副総支配人・総料理長
佐々木 裕之 ホテルグランヴィア大阪 総料理長
佐々木 康二 神戸ポートピアホテル トランテアン 料理長
塚本 三十志 大阪新阪急ホテル 専任調理長
矢間 雄二 ホテルモントレグラスミア大阪 執行役員・総料理長
山口 浩 神戸北野ホテル 総支配人・総料理長
若林 成治 ホテル京阪ユニバーサルタワー 総料理長
(実技審査)
柏木 健一 ホテルグランヴィア大阪 料理長
久保 康志 阪急阪神ホテルズ 宝塚ホテル 統括シェフ
(デクパージュ)
伊藤 道彰 円居ルヴェ・ソン・ヴェール 常務取締役
佐々田 京 ホテルグランヴィア大阪 洋食統括料理長
中田 淑一 辻調理師専門学校 教授
●決 勝
(食味審査)
伊佐 武二 日本平ホテル グループ統括顧問
経営企画室顧問
鎌田 昭男 東京ドームホテル 専務取締役総料理長
上柿元 勝 カミーユ オーナーシェフ
眞田 英輔 元・綱町三井倶楽部 取締役調理部長
下屋 義晴 らくらダイニング 調理エグゼクティブ アドバイザー
善養寺 明 ホテルオ一クラ東京 執行役員洋食調理総料理長
田中 健一郎 帝国ホテル 専務執行役員総料理長
柘植 末利 東京調理師専門学校 校長
中村 善二 仙台国際ホテル 取締役総料理長
藤田 正義 ムッシュ藤田 代表取締役
村山 進 元・レイクサイドVILLA翠明閣 総料理長
森 繁夫 名古屋観光ホテル 常務取締役総料理長
(実技審査)
大江 廣嗣 KKRホテル札幌 総料理長
北村 省三 サザンビーチホテル&リゾート 総料理長
小石 幸一郎 ANAクラウンプラザホテル金沢 洋食調理長
(デクパージュ)
佐藤 進一 京王プラザホテル八王子 総料理長
鈴木 宏貴 東京会館本館 プルニエ調理長代理
竹下 公平 浦和ロイヤルパインズホテル アシスタントシェフ一第5回優勝者
深町 亨 浜松町・東京會館 レストランレインボー 調理長
吉本 憲司 インターコンチネンタル東京ベイ マンハッタン 料理長一第4回優勝者
●コンクール実行委員
(大会会長)
大庭 厳 ホテルオークラ東京 名誉総料理長
(大会副会長)
井上 静男 宇都宮文星短期大学 地域総合文化学科 フランス料理教授
米津 春日 リ一ガーロイヤルホテル 料理特別顧問
(審査委員長)
眞田 英輔 元・綱町三井倶楽部 取締役調理部長
(実行委員長)
今井 克宏 三鞍の山荘 総料理長
(実行委員・コンクール委員)
大溝 隆夫 フランス料理 ボルドー 代表取締役料理長
鈴木 房雄 ザ・プリンスパークタワー東京 総料理長
佐藤 伸二 ホテルグランヴィア京都 取締役総料理長
太田 高広 ホテルニューオータニ大阪 総料理長
太田 昌利 ロイヤルホテル 執行役員リーガロイヤルホテルグループ統括総料理長
兼リーガロイヤルホテル(大阪)総料理長
能勢 洋 帝国ホテル ラ ブラスリー シェフ一第2回優勝者
福田 順彦 セルリアンタワー東急ホテル 総料理長・副総支配人
堀田 大 マンジュトゥー 代表取締役
本多 功禰 辻調理師専門学校 技術研究室統括室長 西洋料理専任教授
水野 邦昭 辻調理師専門学校 技術顧問
(事務局長)
善養寺 明 ホテルオークラ東京 執行役員洋食調理総料理長