フランス料理とワインの素晴らしさを世界に広めたいと考えたオーギュスト・エスコフィエが始めた「エピキュロスの晩餐会」。その遺志を継ぐエスコフィエ協会本部の呼びかけに応えて今年も会員所属ホテル、レストランが参加し、今年のテーマ「鯖」のメニューに取り組みました。

※料理名は各店のメニュー表記に従いました。

 季節ごとに開催している「四季の古典フランス料理 賞味会」の一環として開催。北海道産の鯖にブール・ノワゼットをベースに香草をたっぷり使ったソース・オ・フィーヌゼルブを添えました。肉料理はスペシャリテの一品エゾシカを使用、地元ならではのムニューを提供いたしました。

 今年のテーマに沿って、宮城県が誇るブランド食材であり、お客様にも馴染みがある「金華さば」をムニエルにいたしました。伝統的なフランス料理ブイヤベースを〝泡〟仕立てにすることによって現代風にアレンジ。お客様にも大変ご好評をいただき「普段食べている鯖がすっかりフランス料理になっている」と驚きのお言葉もいただきました。今後もお客様にお喜びいただける料理を作っていきたいと思います。

 鯖に関しては少しアレンジして海老芋とテリーヌにし、白トリュフのスライスとアンチョビ・クリームを添えました。スライスしたテリーヌに粉をつけて焼いていますのでパリッとした表面とねっとりした内側のバランスが楽しめたと思います。スープやメインディッシュはエスコフィエ料理をそのまま再現することを目指しました。エピキュロスの晩餐会を毎回楽しみに見えるお客様もあり、充実したイベントとなりました。

 エスコフィエ協会国際本部が発表する食材を使っての世界同時開催のディナーに毎年参加しています。この「エピキュロスの晩餐会」を楽しみにしてくれているお客様も多く、メニュー作成にも力が入ります。今年のテーマ、鯖は日本でもフランスでもガストロノミックなレストランではあまり供することのない食材ですが、「le Guide Culinaire」には十数種類のルセットが出ています。また、地中海にも大西洋にも生息する魚なので、海岸地方に多くの大衆料理が存在します。

 鯖とフランス料理の組み合わせは珍しく感じられたようです。パイ包み焼きも好評でしたが、前菜の燻製にした鯖の温かいサラダもとても喜ばれました。今年もエピキュロスの晩餐会を心待ちにしていらしたお客様にお集まりいただいて、楽しいひとときとなりました。

 身近故に、やや使用頻度の低い魚「鯖」をオー・ブルーで提供しました。お客様に今回の主旨を話させていただきながら久々に銅製のポワソニエールで目の前でのサーヴィス。しばらくやっていない料理でしたが、大変喜ばれました。古典あるいはクラシック料理など色々な捉え方がありますが、現代においても十二分に輝きを放っていました。むしろ今だからこそかもしれません。そして私自身この料理をベースに新たな発想が湧いてきました。正に「温故知新」。来年も参加させていただきます。

 「le Guide Culinaire」からのメニューをアレンジし冷製料理としました。今年はより多くのお客様に参加いただけるよう、定期的に実施している大人の食育イベントの第3回「脳で感じる晩餐会」と関連付けて宴会場で開催、200名以上のご参加をいただきました。パンフレットにエスコフィエについての説明も掲載し、テーマや趣旨の説明もさせていただきました。

 今回の開催にあたり、ご注文を待つのではなく、全てのお客様に食前の一皿としてサプライズ的にサーヴィスさせていただきました。お客様ごとにサーヴィススタッフがお料理についてのストーリーを丁寧に説明することで理解度が高まり、お喜びいただけましたしスタッフの勉強にもなりました。若き料理人のためにも、画期的な取り組みであり、今後も積極的に参加させていただきたいと存じます。

 より多くの方に食べていただきたいと考え、ホテル内フレンチレストランにて、10月の1カ月を通した特別ディナーコースで提供。ホテルホームページや、グルメサイトにも広く打ち出しました。クラシカルなフレンチにのっとりながらも、モダンの要素も取り入れた「五感で楽しめる至極のコース」を目指し、宴会場で美食会も開催。約50名が参加し大変好評でした。今後も多くのお客様にこの催しを知っていただく取り組みを続けたいと考えております。